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茨城新聞【連載:めぐりあう 県内里親の今】1

2021年1月茨城新聞で「めぐりあう 県内里親の今」という連載が始まりました。
一回目は、稲北地区里親会の山本さんご一家が掲載されています。

写真は、悠太さん(左)と男児を育てる里親の山本克法さん(右)、正子さん(中央)=牛久市内
出典:茨城新聞(2021年1月17日 (日))

すくすく育つ姿に喜び

■実子恵まれず登録
 「夫婦だけのときはゆっくり時間が過ぎていた。子どもを育てていると、時間がたつのが早い。すごくドラマチック」
 牛久市内に住む山本克法さん(59)、正子さん(58)夫妻は、高校2年の悠太さん(17)、小学1年の男児(7)の里子2人を育てている。血縁はないが、かけがえのない息子たちだ。

 夫妻は1994年に結婚し、実子を望んだが恵まれなかった。里親家庭を題材にしたテレビドラマを見たのをきっかけに2004年、里親に登録した。
 同年、3歳の男児を初めて預かったが、実父が再婚したことで半年で引き取られていった。寂しい思いをしたが翌月、当時1歳半の悠太さんが乳児院からわが家に来た。実親は養育能力が低く、悠太さんを育てていくことができなかった。
 夫妻は悠太さんの第一印象を「他の子と比べて一人だけ『でーん』と構えてる感じで、マイペースに見えた」と覚えている。まだ歩けていなかったが、家に来たらよく動き回るようになったといい、すくすくと成長していく悠太さんの姿が、夫妻の喜びになった。
 里親は里子に対し、自分たちが実の親子でないことを適切な時期に伝える「真実告知」が求められる。夫妻は、悠太さんが自分が里子であることを自然に受け入れられるよう、里親家庭の集まりに積極的に参加した。多様性を認め合うような内容の絵本を読み聞かせる工夫もしていたという。
 ただ、親と名字が違うとなれば、学校で同級生から何を言われるか分からないため、小中学校では山本姓を使った。悠太さんが小学校高学年の頃には実親について夫妻に質問することも何度かあった。
 しかし悠太さんは、自身の生まれを不運には感じなかった。夫妻からは「生みのお母さんは事情があって一緒にいられないけど、五体満足に産んでくれたのだから感謝しなければね」と言われていたし、「人と違うのがかっこいいなと思ってた」。物事を隠すのが苦手な性格もあり、高校では生まれたときの姓である鈴木を名乗る。
 夫妻は11年に専門里親の認定を受け、17年、ダウン症の男児を迎え入れた。子どもたちの行動や考えが理解できず大変なこともあるが、いざというときには先輩里親や児童相談所、児童養護施設の職員など頼れる存在がいて、相談できる。
 実子に恵まれなかった夫妻。しかし小さな頃に迎え入れた子は、いつの間にか自分たちの身長を抜き、「弟」の面倒をよく見てくれる青年に育った。「これからも、笑ったり、泣いたり、怒ったり。もっと楽しませてくれると思う」。夫妻は顔を見合わせて笑う。

 虐待や養育拒否など、さまざまな事情で実親と暮らせない子どもたちを預かって養育する里親。近年、虐待件数は増加傾向にあったが、新型コロナウイルスの影響もそこに輪をかけ、里親の必要性が増している。県内の里親たちはどのような思いで子を育て、関係機関はどのような支援を行っているのか。制度の現状を取材した。

★主な里親の種類と手当
 原則18歳までの子どもが自立したり、実家庭に戻ったりするまで受け入れて育てる「養育里親」▽非行や障害などで専門的なケアが必要な子どもを育てる「専門里親」▽子どもの養親となる「養子縁組里親」▽短期間だけ受け入れる「週末里親」(通称)-などがある。なり手不足を背景に、国は直近で2017年度、本年度と里親手当を拡充し、現在は養育里親が子ども1人当たり月額9万円、専門里親は1人当たり月額14万1千円。子ども2人目以降も1人目と同額としたほか、医療費や教育費などが支給される。
出典:茨城新聞(2021年1月17日 (日)記事)

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