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茨城新聞【連載:めぐりあう 県内里親の今】4

関 英子

2021年1月茨城新聞で「めぐりあう 県内里親の今」という連載が始まりました。
四回目は、里親支援専門相談員についてです。

写真は、里親家庭の支援について話し合う児童養護施設の職員たち=日立市川尻町
出典:茨城新聞(2021年1月20日 (水))

制度普及、登録増にも力

■相談員、支援に奔走
 さまざまな事情で実親と暮らせない子どもは里親に委託された後、各機関が連携して見守る「チーム養育」が行われる。社会が公的責任で子どもを育てる社会的養護の理念の下、里親の子育て経験が少なかったり里子に問題行動が見られたりする場合でも、里親が根気強く育てていけるよう支える態勢を構築している。
 里親は、児童相談所が認定・登録や委託、委託解除などを担う。里子との接し方などに悩む里親のアフターケアを務めるのは、主に児童養護施設の職員たちだ。
 中でも施設職員による「里親支援専門相談員」が里親を支えるため日々奔走する。各地区ごとの相談員が定期的にミーティングを行い、未委託を含む既存の里親や新規に登録した里親がどのような課題を抱え、どんなサポートをすれば子どもを受け入れられる状態になるかを話し合う。
 「ペットは飼っててもいいけど、里子との生活スペースは分けてほしい」「奥さんがお酒を提供する店を夜まで営業しているとなると、赤ちゃんを受け入れるのはね。昼のみの営業にしたり、サポートしてくれる親族がいればね」。内容は多岐にわたる。
 里子の中には、虐待による心の傷などから問題行動を起こしてしまったり、コミュニケーションが難しかったりする子もいる。一方里親には、例えば不妊などで実子がおらず子どもが欲しいといった理由で登録する人もいて、子育て経験が伴わず悩む可能性がある。
 養護施設「つくば香風寮」(つくば市高崎)の國松理恵さんは「里親さんの中には、子どもに対する理想像や、自分に対する理想のママ像パパ像を持ち、できないことにイライラする人もいる」と話す。
 相談員たちはそうした里親たちに寄り添い、里子との関係悪化のほか、委託が解除されて里子が施設に再び入所する「不調」を防ぐことを第一に考えている。
 里親制度の普及促進と登録者増を図ろうと、県は2019年度からリクルート事業を開始。県内2施設が受託し、「里親リクルーター」と呼ばれる職員が里親の認知度向上へ広報活動を行っている。これまでに説明会やイベントブース出店、各市町村への広報物品の配布などを重ねてきた。
 新型コロナウイルス感染拡大で活動にも大きな影響が出ているが、リクルーターの一人、増子洋一さんは「里親さんを必要としている子どもたちがたくさんいる。里親というとペットを思い浮かべる人が多いが、『児童福祉のね』と言われるようにまず知ってもらいたい」と意気込む。

出典:茨城新聞(2021年1月20日 (水) 記事)

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